“この結末は一体何だ!?”と叫んでしまう“驚愕の”ラスト。お宝発掘ファンタジーの金字塔? コルネリュ・ポルンボイュ監督「トレジャー オトナタチの贈り物。」(2015)。

まず邦題の“オトナタチ”とか“。”の表記に、うさんくささを感じました。でもカンヌ映画祭の“ある視点”部門の“ある才能”賞を取ったらしいので、そして90分に満たない作品だということで見ました。90分に満たないくせに、1時間を過ぎるまでグタグダと進みます。その進み方が嫌いではないので、つい最後までつきあってしまいました。そしたらこの結末。なんじゃ、こりゃ?

物語は、ある家庭的な男の話です。車に乗った父と小学生の会話から始まります。父親が息子に“怒っているのか?”と聞くと、息子は“少しね”と答える。“パパが迎えに来るのに遅れたから”とのこと。しかしそれは交通渋滞のせいだと説明すると、息子は“許すよ”。このノリについていける人なら、ラストまでついていけます。

で、息子を寝かしつけようとロビン・フッドの物語を読んでいると、階下の男が訪ねてきて“800ユーロ貸してくれ”と頼みます。男は“家計がきつい”と断りますが、階下の男はまたやってきて、“実は祖父から聞いた話だが、実家の庭に共産党が躍進する前に埋めた宝がある。それを掘り起こしたい”と持ちかける、という展開です。

で、ひと悶着ふた悶着あって、二人の男と金属探知機を扱う専門家が階下の男の実家へと向かう。ルーマニアの法律では、見つけた宝が国家財産だった場合、きちんと警察に報告したら総額の30%をもらえるけど、届け出なかったら犯罪になるそうです。当然、無届で、金属探知機の貸し出しもきちんとせずに内緒で行う。

どうも実話をもとにしたそうです。最初、“この映画は実話をもとにしています”といういつものテロップが出て、一瞬の間があって“ある種のね(Sort of …)”とでたような。監督も実はドキュメンタリーにするつもりだったらしい。だから劇映画ですが、なかなかリアルに話が展開します。

主人公の男が妻に、“君のお父さんが頼りだ。頼んでくれ”と言うと、妻が冷静に断り、“あんたが頼みなさいよ”と言うあたり、いい感じでした(写真3)。そもそも主人公は息子に、“ロビン・フッドは遅刻しない”なんて真面目にのたまうわけですから、こりゃあかんわと冷たく見守ってしまいました。

しかし世界にはいろんな映画があるものだと感心します。このラストシーンだって、とても“爽快”とは言えない。僕には“嘘やろ”でしかない。フィクションですから嘘に決まっていますが、そんな嘘をこんな風につくわけ?と問い詰めたくなるわけです。それでいて主人公の行動に同調しようとする僕がいる。

もちろん僕は、誰かが宝探しの話を持ちこんできても乗りませんし、乗れません。とはいえ、今LPレコードが高く売れるらしいと知ると、せっせとリストを作って換金しようとしています。映画グッズだって神田へ持ち込むつもりです。そんな時期に見たことがタイムリーだったし、この映画の“ふまじめな行為に真面目に取り組む大人たち”を、“真面目に映画にしている”ことに共感しました。

よい子は真似をしてはいけませんが、フィクションの世界で夢想する楽しみを味わうくらい、道徳的に許されるのではないでしょうか。せやけど僕なら、あんなラストにはせんと思うなぁ。